【毎年恒例】個人的「短篇調査団」ベストテン

shimizu43102011-12-31

[1]『対決’71』(1971年/監督:増田健太郎+片桐直樹)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110324/p4
「美濃部VS秦野」の1971年都知事選を、社共(&公)共闘陣営から記録した長編。保守・革新ともに政治家・文化人・芸能人を大挙動員しての激戦はまさにスペクタクル。長門裕之さんと津川雅彦さんのご兄弟が両方の陣営に別れていたのも可笑しかったです。

[2]『原発はいま』(1982年/監督:近江道広)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110825/p3
美浜原発に発足した下請け労働者たちの組合「運輸一般原発分会」の活動を紹介する、貴重なプロパガンダ映画。被曝の実態を内部告発したり、作業員の健康診断を受け持っている医師に突撃取材したりと、『ゆきゆきて神軍』を先取りしたアクションドキュメンタリーとしてもなかなかの力作。

[3]『ジョン万次郎 海を渡る』(1975年/監督:河村治彦)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110127/p2
劇団四季の子供向けミュージカル公演「ニッセイ名作劇場」の映画化。「スタジオ演劇」の手法で舞台を映像化しつつも、現代の高知でロケを行うなど野心的なドキュドラマ志向もあって見応えたっぷり。若き日の鹿賀丈史さんや市村正親さんも登場。

[4]『相馬野馬追』(1981年/監督:小泉修吉+熊野章)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20111211/p1
今や貴重な記録となってしまった相馬野馬追の映画。原町・小高・浪江・大熊・双葉・富岡などなど周辺各地域の人々に受け継がれ、人と馬がともに暮らしてきた歴史の証としての祭りを、迫力満点な映像で描いた秀作です。

[5]『ちびっこカムのぼうけん』(1976年/監督:河野秋和)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110421/p4
「親子映画運動」から生まれた日本初の人形アニメーション長編。長年アメリカとの合作を手掛けてきたビデオ東京プロダクションが、『太陽の王子ホルスの大冒険』を連想させる北東アジア流ファンタジーをのびのびと描いていて楽しめました。

[6]『バトンはVサイン』(1982年/監督:熊谷勲)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20111211/p3
松竹大船で山田組&森崎組を支えた熊谷監督が、地元の陸前高田市を舞台に描く珠玉の中学生群像劇。不登校のカオリちゃんを巡ってのクラスメート(「聖子ちゃんカット」率高し)の奮闘にハラハラドキドキ、そして陸前高田の古き良き街並みに思わずホロリ。

[7]『老人たち』(1970年/監督:田中徹)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110224/p1
「老人福祉」というテーマが急速にクローズアップされてきた時代の社会教育映画。ホームヘルパーの主人公が訪れる各家庭で、北林谷栄さんや原ひさ子さんなど名うての老優たちが大活躍。「若い警官」として登場する上田耕一さんも微笑ましいです。

[8]『少年と子だぬき』(1992年/監督:持永只仁)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110421/p2
日中両国で人形アニメーションを創り出した巨匠の愛すべき遺作。昭和30〜40年代はアメリカとの合作に携わっていたため、カラーフィルムで「これぞ!」という代表作を遺せなかった持永氏が、引退後にひとりでコツコツ作ったそうで、童心に帰ったような物語、子どもたちの仕種の一つ一つが心に残りました。もっと多くの人に見られてほしい一本です。

[9]『新日本海時代』(1971年/監督:征矢茂)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110623/p3
北陸電力による電源立地啓蒙映画ながら、ソビエトとの交易を視野に入れた「日本海経済圏」という斬新なコンセプトを、それまでの北陸の「旧時代」と対比していく語り口の巧さに脱帽しました。その後のPR映画とは一線を画す「周到さ」が印象に残る一本。

[10]『岩礁に築く発電所伊方原子力発電所建設記録―』(1975年/監督:樋口源一郎
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110623/p4
微生物の動態研究をライフワークとした樋口監督のもう一つの顔、PR映画の名手としての手腕が発揮された伊方原発建設記録。1970年代当時の「平和利用」への憧れ、既に問題化していた過疎への眼差しなどなど、時代の証言としても貴重な作品。原発検証ドキュメンタリーを制作中のNHK松山放送局からお問い合わせをいただいた一本です!

[次]『おこりじぞう』(1982年/監督:板谷紀之+河野秋和)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110421/p3
数ある“ヒロシマ”アニメーションの中でも随一の泣ける名作。女の子の仕種が抜群に可愛い人形アニメート担当は、やはりビデオ東京プロダクション。

[次]『言葉づかい』(1966年/監督:山下秀雄)
http://d.hatena.ne.jp/tancho/20110526/p1
東映教育映画の名匠・山下監督による初期の短篇。10代の風間杜夫さん&渡辺やよいさんが兄妹役で登場。ここでも上田耕一さんは「若い社員」役で出演。