前半までは
「素晴らしい……アイドル映画として最高!!
ひょっとしたら21世紀版『http://homepage3.nifty.com/~hispider/yumenosima.htm』になるかも!」
と大いに期待したのですが、
結果的には
「楽天イーグルス、リリーフ陣が打ち込まれて逆転負け」
のような、非常に残念な試合を見た気分になりました。
(以下、ネタバレを含みます)
先発投手のペドゥナさんが史上最高と言いたくなる出来なのに、
"人形"や"代用品"などのキーワードに絡めた「テーマ性」、
冨司純子さんをはじめとする大勢のサブキャラ*1
映画知識やガラス瓶などの小道具、ゴミ回収などの伏線と、
言わば継投策や送りバントをひっきりなしに繰り出した挙げ句、
せっかく勝っていた試合をみすみす手離してしまったような、
そんなもったいなさを感じました。
いちばん気になったのはARATA氏の存在。
彼の人物描写はこれで十分なのか…?ということですね。
ペドゥナさんと彼女のオーナー・板尾さんの暮らしぶり
(プレイ後に風呂場で"お掃除"してる姿がリアルでステキ)
で始まる出だしがとても良いので、
「心を持った」ペドゥナさんが町に出て、
レンタルビデオ店員のARATA氏にめぐり逢った時点でてっきり、
板尾さん→ペドゥナさん→ARATA氏
の三角関係でドラマを転がしていくと思ったんですが、
この構図には全く目を向けないんですよね。
ペドゥナさんに気があるのかないのかハッキリしない、
まるで「少女漫画に出てくる男の子」みたいに存在感の薄い
ARATA氏の背景には、元カノの存在が写真で示されるだけ。
なぜ別れたのか?ARATA氏はどれほどの「空っぽ」を心に抱えているのか?
そしてペドゥナさんは「代用品」たり得るのか?
そうした疑問が解決されないままなので、
終盤の彼の"カミングアウト・タイム"には、
「もしかしてBLの方では…?」などと、
あらぬ妄想が膨らんでしまいました(すみません!)
一方で、板尾さんがあっさりと"後妻"を購入したために
別の「三角関係」が発生しますけど、
男「俺はめんどくさいのイヤなんや」
女「ひどい!」
という修羅場なやりとりも、
そうなる前にペドゥナさんがご主人様に、微かにでも愛着を持っている…
という「牽制球」を出しておかなければ、なんだか唐突な展開に見えるんですよね。
そんな疑問が消えないままだったので、
あの終盤の展開にはハッキリと
「違う!そんなところに着地しちゃもったいない!」
と心の中で呟きながら付き合ってました。
「みんな"空っぽ"なんだ」という発見に留まってしまうのも残念。
「みんなも"心を持ってしまった人形"なんだ(だから切ない)」の方が面白いし、
少なくとも業田良家さんの原作では、そう解釈してもおかしくない結末だったと
記憶しているのですが。
(久々に書かれた続編では「ご主人様に彼女が出来たので姿を消す…」という
ワクワクする展開らしいですね〜。しかも最後は『赤い風船』*2になるとか!
モーレツに読みたいです!)
「三角関係こそがドラマを生む」という真理(笑)は、
"トライアングル・ラヴ・マスター"こと斎藤博さんの脚本作品を
見るとよくわかるんですけれど、*3
たとえば『夢の島少女』にも、どうにも解決不能な三角関係が感じられたからこそ、
あんなに切ないのかも知れませんね。
大きな目をクルクル動かし、「仁義なき戦いのテーマ」をBGMにして歩く(笑)
ペドゥナさんの可愛らしさが筆舌に尽くしがたいだけに、
かえすがえすももったいない逆転負け展開。
彼女は"死"ななくても済んだはずだし、板尾さんが"死ぬ"展開を考えた方が
もっと"泣ける"展開だったんじゃないだろうか、と
(板尾さんだったら山田太一作品の境地に…)
というわけで、『空気人形』は
「泣けそうなのに最後まで泣けなかった映画」、そんな印象でした。
追記1:
イメージリングスS社長が、早々に映画館で見て怒っていたのですが、
その時は「近親憎悪?」と思っていました(笑)
本人も「そういえば自作『帝都、萌え。』(2005)に似てる…」と認めたし。
追記2:
そうかと思っていたら、『ホームレスが中学生』(2008)なる便乗映画企画を
開けてびっくり「21世紀版・風の又三郎」に作り変えてしまった
期待のアルチザン監督・城定秀夫さんの新作は『ユリア100式』!!
と知って、小躍りしたいくらい嬉しい今日この頃です(笑)
『空気人形』ならぬ城定版『機械人形』はどう展開するのか??
来月のリリースが待ち遠しい!!
参考サイト:アニメとアキバ系カルチャーの総合情報サイト - アキバ総研
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*1:引き籠りのリンゴ青年は一人?ビデオ屋の新しい店員は別人?メイド喫茶にいたのは彼?