辰巳ヨシヒロ『劇画漂流 上巻』

劇画漂流 上巻

劇画漂流 上巻

昨年新刊を目にして以来*1
読みたいなー、でも定価が…と思っていたら
またもやブックオフにて半額で遭遇!ありがとうS店!


上巻は「漫画少年」投稿世代の興隆から
漫画のヌーヴェルヴァーグ=劇画的表現の胎動までが
辰巳兄弟(ヨシヒロさん&兄の桜井昌一さん@水木キャラ)
の青春期とともに語られていくんですけど、
なんといっても魅力的な舞台が「日の丸文庫」!
目の下にクマがある秀三社長とステテコ&腹巻姿の喜一専務(上図)、
アクの強い山田兄弟が社を構える船場の雑居ビル「安二ビル」に
若い作家たちが続々と集まってくる展開にワクワク。
特に好きなのが21話、映画的なコマ運びを模索し始めた主人公と
映画好きの専務とのこの会話↓


こういう環境が「劇画」誕生の源になっていったことを伺わせて
いいですね〜(『”Þ“z‚𓦂·‚È』という映画のチョイスも最高!)
ああ〜下巻が楽しみです(ブックオフS店に期待します…)


ところで「日の丸文庫」で仕事した作家さんを調べてみると

さいとうたかを松本正彦佐藤まさあき水島新司山上たつひこ山松ゆうきち、政岡としや、巴里夫(いそじましげじ)、高橋真琴、篠原とおる、K・元美津、石川フミヤス、影丸穣也、山森ススム、梅本さちお、望月あきら平田弘史本宮ひろ志

という錚々たるメンバーが並びますし、
同時期に関西では横山光輝さんや楳図かずおさん、
徳南晴一郎さん、川崎のぼるさんたちも活動されていた訳ですから、
こうした貸本漫画全盛期をどなたかにドラマ化していただきたいですね。
在阪の製作者さんが「大阪劇画水滸伝」的に映像化してくださることを熱望!
文化史に疎そうでいらっしゃる某橋下知事の"教育"のためにも…!