劉文兵『中国10億人の日本映画熱愛史』

図書館で見つけて遅ればせながら読みましたが
いやはや面白いエピソード満載。
文革直後の中国で一般公開された日本映画第一弾(1978年)、
とりわけ『君よ噴怒の河を渉れ(公開題:追捕)』と
ƒTƒ“ƒ_ƒJƒ“”ª”ԏ©ŠÙ@–]‹½(公開題:望郷)』の受け止められ方が
スゴかったんですね。
君よ憤怒の河を渉れ [DVD]

君よ憤怒の河を渉れ [DVD]

私自身、この映画を野外上映で見た経験もあります。野外に巨大なスクリーンが張られ、その正面の一等席に一万人が陣取り、さらに八千人ほどの人々がスクリーンの裏側から裏返しの画面を観ていました。(p.12、映画監督・張芸謀さんの証言)

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藤木TDC『アダルトビデオ革命史』

アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)

アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)

もうすぐ読み終わるところですけど、むちゃくちゃ面白いですね!
「アダルトビデオ」の40年近い歴史が
映像機器の発達や、(隣接する)出版界・芸能界の動き、
さらには日本社会の意識の変化まで踏まえて、
俯瞰気味に眺めることができる…という好著です。
いわば、少数派側の創意工夫(=反撃)が生み出してきた
メディア史という点で、
ピンク映画水滸伝―その二十年史 (1983年)』と対をなしている気もします。
(強引。そして↑復刊希望)
さらに、代々木忠さんや小路谷秀樹さんや村西とおるさんや
田口ゆかりさんや田所裕美子さんや黒木香さんや飯島愛さんが
それぞれどんな理由で「革命」だったかもよくわかりました。
(しかしまあ横国大時代に岩井俊二監督×黒木香さん出演で
 撮られたという自主映画はいっぺん見てみたいものです)


そしてまぎれもなく「革命」のひとりである、
林由美香さんの「新作」映画も楽しみです!!

http://www.spopro.net/annyong_yumika/

浜野保樹『偽りの民主主義 GHQ・映画・歌舞伎の戦後秘史』

偽りの民主主義  GHQ・映画・歌舞伎の戦後秘史

偽りの民主主義 GHQ・映画・歌舞伎の戦後秘史

今月末で休館する日比谷図書館
たまたま見つけた本ですけど、
すごーーーーーーく面白かった!
題名の『偽りの民主主義』はちょっとハッタリ効かせ過ぎというか、
中身は『“オキュパイド・ジャパン”芸能秘録』といった印象。
大河ドラマにできそうなボリュームですので
各章と主要人物を列挙しておきますと……

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つまみ読みベストテン

長谷邦夫『マンガ編集者狂笑録』
萩元晴彦・村木良彦・今野勉『お前はただの現在にすぎない テレビになにが可能か』
白坂依志夫『脚本家 白坂依志夫の世界』
松崎明宮崎学松崎明秘録』
坂本慎一『ラジオの戦争責任』
鈴木敏夫『仕事道楽 スタジオジブリの現場』
土本典昭・石坂健治『ドキュメンタリーの海へ 記録映画作家土本典昭との対話』
野村克也野村再生工場 叱り方、褒め方、教え方』
宮沢章夫東京大学「80年代地下文化論」講義』
春日太一『時代劇は死なず! 京都太秦の「職人」たち』

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