#106『葉月のお月』

1964年 作詞:阪田寛夫 作曲:大中恩
歌:OMC(OSAKA MEN'S CHORUS)

♪こんやは二時間も待ったに なんで来てくれなんだのか
 おれはほんまにつらい 
 あんまりつらいから 関西線にとびこんで死にたいわ
 そやけどあんたをうらみはせんで
 あんたはやさしいて ええひとやから
 ころしたりせえへん 死ぬのんはわしの方や
 あんたは心がまっすぐして おれは大まがり
 さりながら わいのむねに穴あいて
 風がすかすか抜けよんねん
 つべとうて くるしいて
 まるでろうやにほりこまれて
 電気ぱちんと消されたみたいや
♪ほんまに切ない お月さん
 お月さん やて あほうなことを云いました
 さいなら わしゃもうあかへん
 死ないでおれへん 電車がええのや
 ガーッときたら ギョキッと首がこんころぶわ
 そやけど むかしから
 女に二時間待たされてからて
 死んだ男がおるやろか
 それを思うとはずかしい
男声合唱組曲「わが歳月」より)


阪田寛夫全詩集

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