池島ゆたか+松島政一『PG No.105 すべての死者よ、甦れ!』

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P.G 105 〜池島ゆたかが見た、生きた、ピンク映画傍証50年史〜 - タコシェオンラインショップ

ようやく買いました!すごく面白かった!!
橋本治さんによる『鞍馬天狗のおじさんは (ちくま文庫)』の解説で
無人島に持っていく一冊という話があるけど、この本を読み終わった時、まさに私は無人島にいた」
といった感じの名言(↑うろ覚え)がありましたが、
池島ゆたか監督100本記念のこの本(PGの別冊では勿体ないボリューム)も、
読み出したら最後、笑えて泣けてびっくりして、
おかげで昨夜は無人島に一泊しました!
ピンク映画史は勿論、現在のピンク映画の企画から興行まで、さらには
新宿国際のやる気のなさの秘密までわかっちゃう驚愕の一冊(大袈裟)
充実の174ページ、その目次をメモしておきますと…

CRANK IN はじめに/池島ゆたか
SCENE 1 初期ピンク映画受容史
SCENE 2 アングラの風、吹き荒れる時代
SCENE 3 劇団・天井桟敷
SCENE 4 池島ゆたか 青春放浪編
SCENE 5 ピンク映画の世界へ
SCENE 6 多士済々?ピンク監督列伝
SCENE 7 役者・池島 絶好調時代
SCENE 8 早すぎた異才 細山智明
SCENE 9 役者孫悟空
SCENE 10 ザ・監督 稲尾実*1
INTERMISSION 劇団セメントマッチ
SCENE 11 監督デビューまでの長い道程
SCENE 12 プロデューサー・小松俊一*2との日々
SCENE 13 銀幕の女優たち
SCENE 14 自然児 橋本杏子
SCENE 15 ピンク大賞変遷史
SCENE 16 去っていった女たち
SCENE 17 僕らが去らせた林由美香
SCENE 18 不屈の男たち
SCENE 19 画面を彩る男の色気
SCENE 20 産業としてのピンク映画
SCENE 21 ヘンリー塚本*3の欲望世界
SCENE 22 忘れ得ぬ実相寺昭雄監督
SCENE 23 マイスター・志賀葉一*4
SCENE 24 監督100本記念映画
SCENE 25 いつもNext oneを
FILMOGRAPHY 池島ゆたか監督作品リスト
CURTAIN CALL 解説/林田義行

演劇界・映画界・そしてAV界と、出てくる人みんな面白いんですが
(なぜかイッセー尾形さんや松尾スズキさんの初舞台まで出てきます)、
特に一人で一章分ある方々、
「早過ぎた脱力系」細山智明さん、「アッチョイ」の稲尾実さん、
「よござんすね」の小松俊一さん、「演じるのは四日が限界」の橋本杏子さん、
移動車を自作する志賀葉一さん、「ヨーイ、オッケー」のヘンリー塚本さん…
の面白さは格段にすごいです。


個人的には沢賢介監督のこのエピソードが大好き。

函館山はすごい強風でね。監督、自分でキャメラ回してるでしょう。カツラが飛びそうになったの、一瞬。パッと頭押さえるのよ。押さえながら、片手でカメラ回してる(笑)。俺、よっぽど隣りで、
「監督、頭、僕、押さえましょうか?」
って言おうかと(笑)。だって、カメラ、ブレまくりなんだもん。後で観たらさあ、本当にブレブレにブレちゃっててさあ。皮肉言われたよ、会社のプロデューサーに。
(p.34「SCENE 6 多士済々?ピンク監督列伝」より)

うーん、いい話です(笑)
沢監督は日映で従軍カメラマンをされていたそうなので、
35mmのカメラもご自分で回してたんですね。
(西原儀一さんや市村譲さんも確か監督撮影兼任)

*1:またの名を深町章荻西太郎

*2:日活出身。著書に『俺の裕次郎―ひとりの若者に青春を賭けた日活宣伝マンの"熱い日誌"』。

*3:FAプロ代表。http://www.fa-pro.com/

*4:"志賀洋一"は誤り。またの名を清水正二