7月のTwitter備忘録。

DVDで村山新治監督『夜の歌謡シリーズ・伊勢佐木町ブルース』(1968)。梅宮辰夫さん演じる主人公がひど目に遭うほど観客の溜飲が下がる妙な展開(笑)。尽くす女・清水まゆみさんが健気で魅力的。伊藤俊也さん演出とおぼしき予告編もオシャレな仕上がりでした。(2010年7月1日)

『ダンプねえちゃんとホルモン大王』ようやくDVDで拝見。寄木細工のような「ストーリーエディティング」を堪能。オーディオコメンタリーでは、川原のミュージカル場面に一年かけたと思ったらラーメン屋の6シーンを一時間でやっつける「藤原章映画術」に驚嘆&爆笑。たっぷり四時間楽しめました!(2010年7月1日)

フィルムセンターで文部省製作『関東大震大火実況』と日活向島関東大震災実況』(ともに1923)。初めて見る日活版は各社のフィルムが混在した「観客の好奇心」に忠実なショックメンタリー。文部省版で本所深川方面の焼跡を視察される22歳の摂政宮殿下(後の昭和天皇)は、22年後に再びこの光景を……。(2010年7月2日)

川崎市市民ミュージアム古澤憲吾監督『ユートピア』(1973)…クレージーキャッツやスパイダースの代わりに東京キッドブラザーズが出てきたような違和感。「おーい日本!」と叫んでいた峯のぼるさんは元ジャニーズ事務所ですが…。「僕は演劇を通して革命をやってるんだ」と宣言していた東由多加さんはこの後2本の映画を監督されていましたね。(2010年7月3日)

ラピュタ阿佐ヶ谷谷口千吉監督『33号車応答なし』(1955)を見たら、「ヒロポンくれよお!」と懇願する石橋蓮司さん(当時13歳)が強烈だったので、続けてDVDで関川秀雄監督『ふろたき大将』(1954)も。どっちも孤児役ですが境遇にはえらい違いが…。(ちなみに8月の湯布院映画祭は「蓮司&魔子」特集!)(2010年7月6日)

UPLINKの西村修平さんインタビュー…「日米安保条約というひとつのカルトに日本人、保守派が犯されていたんじゃないかと思うんです。」「左がだめだと右もだめなんですよ。夫婦と同じで、女房がしっかりしていると亭主もしっかりする。」「ATG以降は映画に力が無く、ほとんど観ていない。」(2010年7月10日)

山崎裕氏の長編初監督『トルソ』、ヒロインが熟読する「AERA」(笑)から始まる“描写で語っていく”展開が心地よい。先に『空気人形』を見てるとニヤリとする場面も。『空気人形』の甘いファンタジーがお好きな方には「?」かも知れませんが、ビターな日本映画を渇望している方にはおすすめ。(2010年7月14日)

特撮で注目される前の円谷英二監督『赤道越えて』(1935)@NFC40周年。海軍練習艦隊の太平洋諸国歴訪大航海に同行取材。各地での在留日本人の熱烈歓迎ぶりと、最後に延々と続く南方進出論の大演説のせいか、来るべき戦争の「ロケハン」にも思えてきます。久邇宮殿下が石炭を運ばれたりと御活躍。(2010年7月14日)

今や日本一濃厚な映画誌「映画論叢」24号をゲット!(頼りになります、新宿ブックファースト)表紙はなんと「監督・小杉勇」ですよ奥さん!(2010年7月23日)

NCWの「三色映画」@新宿K's cinema。まっとうなホームドラマを、きっちりとしたシナリオとスタッフワークで仕上げていく心地よい90分。特に三本目は「東芝日曜劇場」級の佳作(東京藝大方面がお好きな方には“若さ”が足りないかも知れませんが)。総称でも「家族」を強調した方が良かった気も…。上映は明日(7/24)まで!(2010年7月23日)

某イメリン社長との雑談から成り行きで(苦笑)村山三男監督『樺太1945年夏 氷雪の門』(1974)@シアターN。当時としては水準の「反戦映画」でしたが、“新東宝史観”でソ連軍の非道を描くのはお約束としても、日本軍が無力だった理由をあまり描かないせいか『激動の昭和史 沖縄決戦』(1971)ほどには泣けず。作者の「怒り」のパワーに差が?(2010年7月23日)

映画論叢24号、東宝・木下亮監督による大阪万博ガスパビリオンの五面マルチ映像「笑いの世界」回顧録は、会場見取図まで載っていて万博ファンにもおススメ。スタッフは製作:渡辺晋、撮影:岡崎宏三、主演はクレージーキャッツ!(2010年7月23日)

NHKハイビジョン特集『ぼくはロックで大人になった』、キヨシロー画伯の遅刻の言い訳漫画(しかも連載なのがステキ)、絵柄はCOM派?子供の頃にはタツノコプロに持ち込みもしたそうで。(2010年7月23日)

映画論叢24号より、“天皇渡辺邦男監督のカワイイ豪邸自慢……「雨戸が72枚ある。開けに来るか?」(2010年7月23日)

田原総一朗さんの岩波映画いい話…ヌーヴェルヴァーグに傾倒して全編手持ちキャメラで『たのしい科学』を撮影して怒られる→ゴダール完コピで編集したら好評で賞をもらう(以上、朝日ニュースター宮崎哲弥のトーキング・へッズ」より)。お手本はゴダールじゃなくてアラン・レネの『世界の全ての記憶』かも。(2010年7月24日)

今日の「ゲゲゲの女房」、しげーさんの人物評がズバリでした……「技術の池上、芸術のつげ。」(2010年7月28日)