短篇調査団 (96)伝奇の巻

摩訶不思議なり2本立(計106分)
2010年2月11日(木/祝) 14:00〜16:00
『大蛇のおねり』
1991年/25分/製作:近代映画協会/監督:金高謙二
『九尾の狐と飛丸』(写真)
1968年/81分/製作:中島源太郎/構成:鈴木英夫増村保造
http://d.hatena.ne.jp/tancho/


『九尾の狐と飛丸』は1976年収蔵とのことで
あまり褪色していないプリントでした(ホッ)
何人かのお客さんが
「昔テレビで見てトラウマになってました」と仰っていた通り、
「まんが映画」にしては救いのないストーリーに、
池野成さんの重厚荘厳な音楽が乗って迫力満点!
堂々たる「大映まんがまつり」でした。
(『太陽の王子 ホルスの大冒険』と同じ年の公開なんですね…)


アニメーションとしても、今のアニメに慣れた眼には新鮮な「絵」でした。
今だったら凝ったアングルの止め絵とかで
かっこよく処理するようなカットも、
たいそう律儀に動かしていたりして、
全体的にトーンが揃っていない作画が、
なんとも味があって面白かったですね〜。
絵コンテやレイアウトの技法がまだまだ発展途上期なのか、
アニメーターの腕任せになっているようなカットがしばしばあって、
そこが成功してたり(魔界で翻弄されて舞い続けるヒロイン!)
失敗してたり(『少年忍者 風のフジ丸』みたいな横走り!)
という感じがしました。
この映画が完成した1967年といえば、
第一期TVアニメバブルでアニメーターが不足していた頃なのかな。
スタッフクレジットを見ると、各社出身のアニメーターが集まっていますが
(中でも「カールおじさん」や「ペンギンズメモリー」で有名な
 ひこねのりお彦根範夫さんが目立ってます)
劇場用フルアニメーション(東映動画系)と
TV用リミテッドアニメーション(TCJ=エイケン系)、
両方の技法が同居していたのかな…という気もします。

短篇調査団 (95)ロボットの巻

『ロボットへの道』(1970/佐藤圭司)
『ロボット』(1984/橘逸夫)
『ROBOTー塗装用ロボット』(1979/グループ現代)
『ようこそ宇宙人』(1966/岡本忠成)
『雨はやさしく…』(1984/ナジム・トゥラフジャエフ)
メカトロニクス』(1991/辻功・千原卓司)
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1970〜90年代のロボット工学ものが中心でしたけど、
1970年の『ロボットへの道』で、
既に「機械を操作する人間のロボット化」の問題が
指摘されていたりして
(機械の"助手"にさせられたベテラン旋盤工のおじさんが哀れ)
意外に見応えありました。
特に、国内および海外での商談用に作られたと思しき
神戸製鋼所presents『ROBOTー塗装用ロボット』の
カタイ製品をやわらかく売ろう…という苦心が他人事に思えなくて(苦笑)
面白かったですね。メカにはやっぱり美女を並べたくなる展開(写真)とか。


▽勝手に今日のテーマ曲

英文字幕付きで見るとまた趣が……。
♪Domo Arigato Mr.Roboto, Mata ahoo Hima de〜

短篇調査団 2009年個人的ベストテン

『書』(1974年/戸田金作)
篆書、隷書、草書、行書、漢字かな交じり……
次々と現れる書道の達人と華麗なる筆捌き!
まるで書道版「死亡遊戯」!

漆器づくりの要具』(1981年/池田達郎)
漆の漉し紙、刷毛など
漆器製作用具」の緻密極まる世界に突入!

『懐石料理 その心と作法』(1976年/重森貝崙)
懐石料理……それは客と主人の連携プレイ!
(「プレー」ではなく)

アイヌの結婚式』(1971年/姫田忠義
かための杯は炊きたての米飯!もりもり食べる村の衆!

『わたしの見つけた小麦粉』(1978年/岡田道仁&福田克彦
小麦を石で砕いたり臼で挽いたりして
13時間後にようやくウドンにありつける家庭科の授業!

『木組・銅葺・漆喰壁』(1981年/堤哲朗)
寄せ木細工のように出現するお寺の本堂……
まさにDIYな建築記録映画!

『姫路城』(1965年/上野耕三)
巧みな築城設計を歯切れの良いカット割とアングルで
切り取っていく心地よさ!

『報道マスコミと真実』(1966年/榊原武男)
40年前のメディア・リテラシー企画!

『鬼すべ』(1983年/野崎健輔)
太宰府天満宮の節分神事保存用マニュアル映画!
フィルムで伝承「鬼は外」!

『マヨネーズ物語』(1977年/清本隆男&和田誠
和田誠イラスト&ソングで楽しむキユーピーの工場見学映画。
無人で作業が進められる「割卵室」がカッコイイ!

別格1:はだかの王様(1964年/高橋典&寺山修司
劇団四季子ども向けミュージカル公演の映画版。
CMの巨匠がモダンに演出した「スタジオ演劇」!

別格2:婚前教育のすすめ(1965年/上砂有弘)
「あるべき婚前交際」を学ぶお節介系教育映画。
薄倖のヒロインを見つめる作者の微妙な説教エロ視点がたまりません!

別格3:蓮如とその母(1981年/川本喜八郎
「実写じゃ無理だから」と頼まれた無謀な長編人形アニメ時代劇!
効率的な画面処理を工夫した川本監督に拍手!


それでは皆さま、よいお年をお迎えください。

短篇調査団 (94)洋食の巻

おせちもいいけどカレーもね4本立(計113分)
12月9日(水)20:00〜22:00
『味の芸術 カレー』
『マヨネーズ物語』音楽&アニメ:和田誠
『わたしの見つけた小麦粉』
『にっぽん洋食物語』
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▽今日の愛唱歌

短篇調査団 (93)和食の巻

2009年11月25日(水) 20:00開映
『二千年の味 日本の食文化』
『うま味の世界』
おせち料理は語る』
『懐石料理 その心と作法』
『舶来の日本料理 食文化の翻訳術』
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NHKきょうの料理「プロのこつ・和食」 [DVD]

NHKきょうの料理「プロのこつ・和食」 [DVD]

短篇調査団 (92) 漆の巻

うるし麗し4本立(計123分)
11月11日(水) 20:00〜22:10予定
『輪島塗』
1974/30分/監督:高井達人
『鎌倉彫』
1980/21分/監督・撮影:金山富男
『飛翔 漆芸家 山崎覚太郎』
1971/30分/監督:戸田金作/撮影:玉井正夫
漆器づくりの要具 手仕事の世界』
1981/42分/監督・撮影:池田達郎
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漆はジャパンである

漆はジャパンである

うるしの話 (岩波文庫)

うるしの話 (岩波文庫)

短篇調査団 (91)陶芸の巻

土と炎の4本立(計119分)
2009年10月28日(水) 20:00開映 22:10終了予定
柿右衛門 にごしで』(1978/山添哲)
『彩挺(さいえん) 楠部弥弌の技法』(1978/成島東一郎)
荒川豊蔵』(1980/金山富男)
『色鍋島』(1973/村山英治)=写真
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ヴィクトリアン 陶器 マグ

ヴィクトリアン 陶器 マグ