『33号車應答なし』(1955)『ふろたき大将』(1954)

谷口千吉作品の中でも面白い！という噂の
『33号車應答なし』をラピュタ阿佐ヶ谷で。
当時まだ目新しかったと思しきパトカーを使って、
池部良さんと志村喬さんの巡査コンビが
クリスマス・イヴの一夜に遭遇する様々な事件を
巧みなストーリー展開＆粋なセリフ回しで見せてくれます。
（脚本は池田一朗＝隆慶一郎先生と谷口監督の共同）
この日のうちに五人目の子供が生まれる志村喬巡査をはじめ、
池部巡査の新妻・司葉子さん（可愛い！）、
アプレゲールな凶悪犯・平田昭彦さん（美男子！）
善良なタクシー運転手・柳谷寛さん、
キャバレーで鼻の下を伸ばす成金・上田吉二郎さん、
臨月の妻・河内桃子さんを口笛で励まし続ける(笑)
貧乏作家風の土屋嘉男さん（竹中直人さんにそっくり！）などなど、
出てくるキャラクターがみんな味があって面白いんですね。
中でもインパクト絶大だったのが、
悪者たちの手先になって池部巡査をおびき寄せる
浮浪児役の「石橋蓮」さん（劇団若草所属、当時13歳）！
「ヒロポンくれよお！」と懇願する迫真の演技に、
観客の誰もがその後の素晴らしい俳優人生を確信したことは
言うまでもございません。

こりゃあデビュー作も見なくちゃ！というわけで
続いてDVDで東映教育映画第一作『ふろたき大将』を。
1950年の広島、原爆で母親と生き別れになった浮浪児が
児童養護施設に引き取られて…というお話で、
実在の似島学園が舞台になっています。
こっちの「石橋蓮」さんはまだあどけない坊主頭で
かなり可愛いんですが、怒り顔は今と余り変わらないかも。
お母さんが原ひさ子さんだったり先生が梅津栄さんだったり
音楽が伊福部昭さんなので『大魔神』みたいな気分になったりと
見どころたっぷりな47分でした。

ふろたき大将 [DVD]

ちなみに今年の湯布院映画祭（8/25〜8/29）は
「石橋蓮司＆緑魔子」特集！！
『日本一の断絶男』(野外上映！)に始まって
『竜馬暗殺』『非行少女ヨーコ』『あらかじめ失われた恋人たちよ』
『獣たちの熱い眠り』『盲獣』『赫い髪の女』とともに
第二会場で『ふろたき大将』も上映するみたいです！
http://www.d-b.ne.jp/yufuin-c/