『ユートピア』(1972)『手』(1969)

川崎市市民ミュージアム
http://www.kawasaki-museum.jp/
古澤憲吾×東京キッドブラザース萩本欽一による
オトナの自主映画(しかも35mm)二本立。
フルケン先生渾身の一作は題名通り「ユートピア」を探して
東京キッド劇団員+公募の若者たちの総勢70人が
ヨーロッパ各国を公演しながら漂流するという、
無事に完成したのが不思議にも思える壮大&壮絶な企画。*1
パリの街角で通行人に「仁義礼智忠信孝悌」を読み上げさせたりと、
電波少年」的バラエティドキュメンタリーの先駆けみたいなことも
やってみせます。
ただ、旅行パート(ドキュメンタリー)と舞台パート(スタジオ撮り)が
ちっとも融合しないまま展開していくので、
一時間くらいすると飽きてしまいました(苦笑)
当時のキッドの演目は『南總里見八犬伝』や『黄金バット』なので
構成・編集でもっともっと「旅」と「舞台」を結びつけることができたのでは……。
せっかく撮りきっているので、そこが惜しい気がする映画でした。


欽ちゃんが脚本・監督・主演に挑んだ『手』は、
浅井企画の社長が「パトロン」としてクレジットされるように、
多忙な彼のストレス解消に企画されたと思しきプライベートフィルム。
冒頭いきなりこの歌(串田アキラ「からっぽの青春」)で始まった時点では
当時の彼の心象風景を見るようで興味深かったのですが……

しかし、「さえない男と"手"の奇妙な同居生活」というアイディアが
アイディアのままでストーリーを生み出さず、
ひたすら暗い室内でのショートコント大会に終始してしまうんですね。
それが延々と続くので、いやあツラカッタです……。
(しかも「独身男と"手"の同居」なのに"そっち"方面の話は一切ないし……)
むしろロケ場面は試行錯誤も含めて面白かったんですが。
(望遠や回り込みなど、まさに大学映研第一作のような初々しさ)
Y興業をはじめ芸能プロダクションの映画製作担当の皆様には
偉大な反面教師として一見をおススメしたい気もします(苦笑)


追記
7月24日から神保町花月渋谷ヨシモト∞ホールで公開される
『二ライの丘』はちょっと見てみたいんですが。
琉球芝居の大御所・大宜見小太郎さんの「丘の一本松」が原案!)
http://www.niraino-oka.com/

*1:いま書いてて「ガンダーラ映画祭」そのものだなーと気付きました