川谷拓三『3000回殺された男 拓ボンの体当たり映画人生』

3000回殺された男―拓ボンの体当たり映画人生

3000回殺された男―拓ボンの体当たり映画人生

今週はなぜか川谷父子読書週間(図書館に感謝!)
今年たまたま見た『松山城』(1970)に
お父さんが撮影部で参加されていたのと、
その後NHKの「あの人に会いたい」で
息子さんを拝見したのがきっかけで。


お父さんの中国大陸冒険譚(&武勇伝)は、
幾らかの誇張もあるでしょうが面白いですねえ。
満州からの引き揚げ後しかご存知ないらしい息子さんにとって、
お父さんへの評価は相当に低いみたいですが、
(京都に行って初めてお父さんの高名ぶりを知ったそうで)
息子さんの「付き人から見たスター像」も
低姿勢ながらも反骨心が滲み出ていてニヤリとさせられます。
ちなみに「僕が師事した11人の先生方」(p.80より)は、順番に
伊沢一郎さん*1山形勲さん、平幹二朗さん、宇佐美淳也さん、
星十郎さん、大川橋蔵さん、内田良平さん、中村メイコさん、
香山武彦さん、松方弘樹さん、
そして鶴田浩二さん(最長&最後の師)だそうです。
(香山武彦さんの付き人は辛かっただろうなあ……)


▽なるほどメモ

中国では「劇を見にいこう」とはいわない。「劇を聴きにいこう」という。
劇場に行くことを聴戯(ティンシー)という。字のように、見るのではなく、聴くのである。
(p.97-98 第二章 中国へ「京劇俳優・尚小雲と小翠花」)

↑京劇は声が第一、というお話で。勉強になるなあ。

室田日出男先輩になにかと面倒を見ていただくようになったのも『仁義なき戦い』がきっかけであった。この人はかつて東映の契約俳優の先頭に立って会社と闘った人で、反体制の権化のような人でもある。いいかえれば、理不尽なことが大嫌いで、どんなに強い相手だろうが果敢に真正面から飛びかかっていく。おかげで何度となく無茶なケンカに巻き込まれたが、義侠心も厚く、それだけに後輩からは面倒見のいい先輩としてとおっていた。
(p.166「忘年会にも呼ばれない嫌われ者が『ピラニア軍団』」)

↑先週『怪猫トルコ風呂』を見た時も室田先輩を応援しちゃいました。
(理不尽極まりない役柄でしたが…)

*1:母方の叔父さんだそうです。