クチコミズム〜3・4月のベストテン!

shimizu43102009-05-04

1.ひとりと一匹たち〜多摩川・河川敷の物語
ETV特集/2009年/ディレクター・撮影:大森淳郎)
合計4回放送されて、毎回ついつい見てしまう、しかも見飽きない珠玉作!カメラマン・小西さんを仲介に、初めて河川敷を下っていく「一人称」ハンディカメラのブレた映像が、「すぐそこにある別世界」を訪問する視聴者のドキドキする気持ちとシンクロしてからは、あっという間の1時間半。猫たちやおじさんたちに会ったとき、いいタイミングで入る「グラグラな風景カット」が、撮り手の心象を効果的に伝えていました。
http://www.kabuto.tank.jp/kabuto/tv/2009/03/
http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html

2.ホームレスが中学生
(2008年/監督:城定秀夫)
この題名でこんな秀作が見られるとは…もったいない(笑) 河川敷のラッパから始まって、国語の時間で朗読される宮澤賢治まで、わずか1分以内で作品世界を提示しちゃう鮮やかな手腕に感涙。あとはもう痛快・爽快な70分の青春映画。小道具や挿入歌でメッセージを編み上げていく絶妙さ、台詞の巧みさ(「(須崎くんは)地球にやさしい人間です」に爆笑)などなど、こんなにうまくていいんですかという感じさえしました。ダマされたと思って一見を!

ホームレスが中学生 [DVD]

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3.THE YES MEN
未公開映画を観るTV/2003年/監督:Chris Smith、Dan Ollman、Sarah Price)
世間を相手に「バラエティ番組」をやっているスケールが凄いですね。周到な準備のプロセスを淡々と観察する構成が可笑しかったです。

4.ノット・サティスファイド
(1981年/監督:太田達也)
アナーキー』DVD特典に収録。アナーキー親衛隊東京支部長・当時17歳!の太田さんの「度胸の良い」撮影がひたすら楽しい8mmドキュメント。キヨシローさんも快くインタビューに答えてました。

アナーキー [DVD]

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5.わが家
ハイビジョン特集/2008年/ディレクター・撮影:西川啓)
能登半島地震で「わが家」を失った人々を取材しながら、カメラの後ろの取材者もまた同じ人間として「わが家」があって…という、当り前だけど「番組として難しい」テーマを根気強く綴ってみせた結果、「番組」は「作品」になったのでした。取材体制や撮影機材の変化とともに、番組にも当然出てくる「主観」の存在をどう描くかを考えるためにも、多くの人に見ていただきたいです。
http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090806170030157/

6.TV強制合宿!? タブーな番組企画会議
テレビ東京 メディアリテラシー特番/2009年/ディレクター:長嶋甲兵・川口善己)
「なぜ面白い番組が出てこないのか」という素朴な疑問に、企画会議で答えてみようとする確信犯な企画意図がステキでした。さすがは不可能に挑戦し続けてきたテレビ局!(その45年の歩み→われらが愛しの番外地。 - 4310)錚々たる提案者の中でも、中村うさぎさんが大活躍でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/literacy/090329.html

7.次郎さんの魚が笑ってる〜沖縄の陶工・金城次郎
NHK特集/1987年/ディレクター:片島紀男)
人間国宝・金城次郎さんの仕事を追った美術番組かと思いきや!寡黙な次郎さんの工房のラジオから流れてくるのは、なぜかいつも「沖縄国体」をめぐって昭和天皇が訪問するかどうかのニュースばかりという、「一粒で二度おいしい」構成の妙に唸りました。素晴らしき確信犯!
http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200998711020130090/

8.ラストカット〜ファインダーが見たブッシュ大統領の8年
BS世界のドキュメンタリー/2009年/ディレクター:酒井裕)
戦場カメラマンから「ホワイトハウス番」に転身したモリスさんの、前大統領との「距離あるお付き合い」ぶりと、その結果としての写真との巧みな構成が楽しい一本。「国民に嫌われてからは彼に好感を持った」というあたりからがとてもいいですね。劇映画化希望!
http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/090308b.html

9.009ノ1 日本爆破アンタッチャブル
(1969年/監督:小松範任)
第一回HDF(ハジけたドラマファンクラブ)特選作品(←いま勝手に決めました)。同日同時刻スタートの裏番組が『ゲバゲバ90分』という強烈なエピソードとともに、長く記憶したい徒花マスターピース

10.象徴天皇 素顔の記録
NHKスペシャル/2009年/ディレクター:山本大典・八幡祐子)
皇居内でインテグラを運転する陛下!!テニスコートで粘り強いラリーを続ける陛下!!民放のレギュラー番組3本(『皇室アルバム』ほか)ではなかなかお目にかかれない「オフ・ショット」満載の、NHKだからできる「ホームビデオ」。皇室ファン必携の愛蔵版。全国民が一人残らず見る番組!(嘘)
http://www.nhk.or.jp/special/onair/090410.html
参考サイト:画期的であったNHK『象徴天皇 素顔の記録』: 反米嫌日戦線「狼」(反共有理)

次点:愛のきずな
(1969年/監督:坪島孝
松本清張『たづたづし』を、なぜかナベプロ×藤田まことさん主演×坪島孝監督というメンツが映画化した結果、ブラックな味わいの「笑える清張」になってしまったという怪作。昭和の萌え系・園まりさんの甘えん坊ソング『ひとりにしないで』で無理やり纏められてしまうラストとともに、なんとなく捨てがたい失敗作(苦笑)
参考サイト:坪島孝追悼 「愛のきずな」: 佐々木浩久、万事快調!
▽園まりさんの♪あなたのとりこ(↓しかし不思議なPV)


4月新番組のお気に入りは『時々迷々』『東のエデン』で決まり!