- 作者: 安倍夜郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/12/26
- メディア: コミック
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最近は『神戸在住』『すーちゃんの明日』『劇画漂流』など、
それまで新刊書店では手が伸びなかった作品に
数多く出会わせていただいております(S店とJ店に感謝!)
『深夜食堂』も、ひょっとしたら蘊蓄グルメ漫画かなあと思って
ついつい敬遠していた私が馬鹿でした!
営業時間が12時から朝7時まで、
お品書き(豚汁定食だけ)以外のオーダーは「できる限り作る」というこのお店、
料理よりむしろ「お客を味わう」食堂なんですね(←なんか宮澤賢治みたい)
常連客・一見客を問わず「おいしい人生」の持ち主ばかり。
新宿ゴールデン街のはずれ(東新宿方面?)にありそうなこのお店、
いちど覗いてみたいものです。
3巻までの各エピソードから「味」の傾向を分析してみましょう。
1.<思い出の味>
「赤いウインナー」「焼き海苔」「ポテトサラダ」「ソース焼きそば」etc.
蛸型ウインナーを口に運んだ瞬間の
"竜ちゃん"さん(某組幹部)の↓この表情が
大河ドラマ並みの物語を予感させたりします。
2.<メニュー=生きざま>
「しょうゆとソース」「カツ丼」「刺身のつま」「ゆでたまご」etc.
「カツ丼」のカッちゃん(プロボクサー)、
「刺身のつま」の小森さん(脇役俳優)など、
名は体を表すメニューと人生。
3.<薄幸>
「猫まんま」「ラーメン」「唐揚げ」etc.
『幸子という名で超不幸』((c)上野顕太郎先生)を地で行く、
演歌の花道系薄幸ガールズ(オヤジ客は彼女らを鑑賞しに来店)
↑野村芳太郎版『昭和枯れすすき』を連想しちゃう唐揚げ兄妹
4.<再会>
「カリカリベーコン」「春雨サラダ」「らっきょうの甘酢漬け」etc.
そのメニューをきっかけに、何十年かぶりで…というパターン。
暴走族、高校野球、アラフォーといった話題は安倍先生のリアルな好みかも。
やたらに気合いの入っていた「竹の子族」ばなしもここに近いですね。
5.<艶笑>
「きのうのカレー」「納豆」「魚肉ソーセージ」「ふりかけ3色パック」etc.
落語みたいなオチがつく、よい子はハテナ・大人はニヤニヤシリーズ。
そもそも野郎客が多いので貴重な味わい(考えるの難しいでしょうけど)
6.<恋バナ>
「たらこ」「キューリのぬか漬け」「タマゴサンド」etc.
同じく、「イイ顔」揃いの食堂では一服の清涼剤。
アイドルと新聞奨学生(!)の「タマゴサンド」など、
気恥ずかしいくらいの甘酸っぱさです(でもそれがいい)
7.<技ありグルメ>
「牛すじ大根玉子入り」「オニオンリング」「バターライス」etc.
平凡でありふれた料理(料理ですらないものも)なんですが、
その食べ方がイカしているため、つい真似したくなる……という
正統派グルメ(B級だけど)路線。
↑「オニオンリング」のタマネギ王子。最後の"卵とじ"で一同脱帽。
8.<オールスター>
真夏の夜の「スイカ」、クリスマスイヴの「カニ」のように
半年に一回くらい「常連客」勢揃いの日があるのもまた楽し。
他にも「ナポリタン」「冷や汁」などの<レアもの>、
「カキフライ」「割り箸」など、星新一ばりの<ショートショート>、
「トイレの客」「半分こ」「プリン」などの<客の生態>……
といった路線が確認されています。
うーむ。げに美味しきは深夜の客。
(夜中のファミレス…美味しすぎてオナカ一杯になりますよね)
- 作者: 宮沢賢治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1990/05/29
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- 作者: 雁須磨子
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