"♪あまりにもおばかさん"という挑発的な詞で
「反戦歌」としてお馴染みの『フランシーヌの場合』、
コミックソングという当初の狙い(?)を大きく逸脱した
名曲『とん平のヘイ・ユウ・ブルース』の作者として
知られる郷伍郎さん(またの名を「いまいずみあきら」)。
他にも『資本論のブルース』『パピルスの船に乗って』などなど
題名だけでもわかる「インテリ風」(「インテリ」ではなく)の世界が
たまらなく魅力的ですね。
もともとは「サクマのチャオ」「吉野家(牛丼一筋八十年)」などの
コマーシャルソングで活躍された方という経歴を踏まえると、
『フランシーヌの場合』の二番の歌詞、
「ほんとのことを言ったら おりこうになれない」には
ある意味で杉山登志さんに通じる広告屋の韜晦を感じたりもしますし、
『ヘイ・ユウ・ブルース』の「人生はスリコギ」論にもちょっと納得です。
実人生ではなんと8度の結婚!を繰り返した
日本版タイガー・ウッズ(いや嵐寛先生か?)なお方だったようで*1、
そのあたりは『ヘイ・ユウ・ブルース』のB面
『東京っていい街だな』の詞に反映されてるみたいです。
▽1950年代
▽1964年
▽1969年
フランシーヌの場合 歌:新谷のり子
(作詞:いまいずみあきら 作曲:郷伍郎 編曲:テディ池谷)
http://www.youtube.com/watch?v=HrknlgxZ7Rw
♪フランシーヌの場合は あまりにもおばかさん
フランシーヌの場合は あまりにもさびしい
※三月三十日の日曜日 パリの朝に もえたいのちひとつ
フランシーヌ
♪ほんとのことを言ったら おりこうになれない
ほんとのことを言ったら あまりにもかなしい
※(くりかえし)
♪ひとりぼっちの世界に のこされたことばが
ひとりぼっちの世界に いつまでもささやく
※(くりかえし)
♪フランシーヌの場合は わたしにもわかるわ
フランシーヌの場合は あまりにもさびしい
※(くりかえし)
X'masなんか来てほしくない 歌:ザ・ヴィレッジ・シンガーズ
(作詞:いまいずみあきら 作曲:郷伍郎 編曲:テディ池谷)
http://www.youtube.com/watch?v=V9aVdz7YUeA
▽1970年
資本論のブルース 歌:大城晋
(作詞・作曲:郷伍郎)
http://www.youtube.com/watch?v=HGqmS0Q4rB8
♪ゲバルト デカンショ ホイ!
男なみだをグラスについで 好きな女に口移し
君にうらみを言ったとて 金のうらみは消えやせぬ
ヘーゲル マルクス エンゲルス
渋谷 新宿 池袋 憂さを晴らすか はしご酒
今夜もどこかで 資本論のブルース
♪ゲバルト デカンショ ホイ!
月に降り立つ男もいれば 恋もできない奴もいる
月賦のテレビも質に入れ ままよ下宿で月見酒
ヘーゲル マルクス エンゲルス
なんだ 神田のガード下 胸にしみるぜ 夜鳴き蕎麦
今夜もどこかで 資本論のブルース
♪ゲバルト デカンショ ホイ!
生みの親まで うらむじゃないが 生きてゆくのが なぜつらい
男一匹 火の車 かせぐいのちのみじかさよ
ヘーゲル マルクス エンゲルス
上野 浅草 錦糸町 ひとりぼっちの縄のれん
今夜もどこかで 資本論のブルース
「男一匹 火の車」……素晴らしい。
東京はみなし児 歌:カルメンマキ
(作詞:いまいずみあきら 作曲:郷伍郎 編曲:小谷充)
http://www.youtube.com/watch?v=PNM2ro79iWY
♪東京は私生児 ひとりぼっちの名前
みなし児たちが舟をうかべた アルミニウムのみずうみ
夜明けの道が遠いから ままごと遊びがしたいから
おもいでの時計を止めて あしたを好きになろう
♪愛されるのがこわいから 生きてるあかしがほしいから
おもいでの時計を止めて あしたを好きになろう
♪東京は私生児 季節風のゆりかご
みなし児たちが吹き寄せられた プラスチックの灰皿
さびしがり屋の街だから あたしの背中が寒いから
おもいでの時計を止めて あしたを好きになろう
女は小さなチャンスに賭ける 歌:津々井まり
(作詞:いまいずみあきら 作曲:野々卓也 編曲:植原道雄)
http://www.youtube.com/watch?v=ir2nh6ZGsIU
♪たとえ浮気で 出来ごころでも 女は小さなチャンスに賭けるのよ
愛してなんかいなくてもいい 今夜はあなたに命を… あずけるの
一度だけの愛だと 心に決めていても
許されない鎖で あなたを縛るの あなたを縛るの
失うことは 求められることね
女は小さなチャンスに… チャンスに… チャンスに… 賭けるのよ
(後略)
「チャンスに… チャンスに… チャンスに…」っていうところ、
レコードに傷が付いたんじゃないかと心配になるリピートでコワイですね。
▽1973年
とん平のヘイ・ユウ・ブルース 歌:左とん平
(作詞:郷伍郎 作曲:望月良道 編曲:深町純)
http://www.youtube.com/watch?v=MAHcgUS7EaY
♪ヘイ・ユウ! ヘイ・ユウ ワッチュアネーム?
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
おふくろのおっぱいの味 覚えてるのか?
捨てた女のホクロの数 思い出せるか?
世の中はスリバチだよ
人生はスリコギだよ オー・マイ・ベイビー
人生はスリコギなんだよ!
オー・マイ・ベイビー 俺のブルースを聴いてくれ」
♪ヘイ・ユウ! ヘイ・ユウ ワッチュアネーム?
「仲間はみんな同じスイカを盗んだ
仲間はみんな同じ女に抱かれた
仲間はみんな同じ汽車に乗った
それがどうだ いつの間にか 俺はスリコギだ
俺はスリコギにされちまったんだよ!
くたびれて ひとりぼっちのスリコギなんだ
俺をスリコギにしちまった奴…
そいつは誰だ? 誰だ? 誰なんだ!?」
♪ヘイ・ユウ! ヘイ・ユウ ワッチュアネーム?
「酒がお前を裏切らないとでも言うのか?
女房が浮気しないとでも言うのか?
"捨てる神あれば拾う神あり"とでも言うのか?
すり減っちまって短くなったスリコギを誰が拾うもんか!
スリコギは 働けば働くほどすり減るんだよ!
すり減って ミソをつけて 死んじまうんだ!
俺をすり減らしてる奴がいるはずだ!
俺をスリコギにしちまった奴… そいつは誰だ? 誰だ?」
♪ヘイ・ユウ! ヘイ・ユウ ワッチュアネーム?
「名前を名乗れ!お前は誰なんだ?
お前もいつかスリコギになるぞ!俺は嫌だ!俺は嫌だ!
ヘイ・ユウ! ワッチュアネーム?」
東京っていい街だな 歌:左とん平
(作詞:郷伍郎 作曲:村岡健 編曲:深町純)
http://www.youtube.com/watch?v=Xzh9eGMlDBI
「今日限りきっぱり忘れるんだ、ベイビーちゃん
もうフィニッシュなんだよ、ベイビーちゃん
あきらめてくれよ
死ぬなんて考えちゃいけないよ、ベイビーちゃん
その美しい顔でもう一度笑ってくれ
泣きたいのは俺だって同じなんだから
男にはやらなきゃいけないことが一杯あるんだよ、ベイビーちゃん
じゃあ……グッバイ、ベイビーちゃん……バーイ!」
「…もう一杯ダブルにして、マスター
女を捨てんのも これで辛いもんでなあ
でもねえ、こうして別れた後の酒、いつもしみじみとしてねえ
なんつうか、マスター……東京って いい街だよなあ」
(後略)
アザミの花
(作詞:岡田嘉子 作曲:郷伍郎 編曲:馬飼野康二)
歌:純アリス http://www.youtube.com/watch?v=zeezfOjffXw
歌:沢田亜矢子 http://www.youtube.com/watch?v=YyNndp8jx64
▽1974年
ダメおやじ愛のテーマ 歌:ペンあんどペンシル
(作詞・作曲・編曲:郷伍郎)
http://www.youtube.com/watch?v=KlqZyJHefeM
▽1976年
嗚呼!深紅の旗東京に還る 歌:色鉛筆
※「第58回全国高等学校野球選手権大会」実況盤
http://www.youtube.com/watch?v=Aa3PwVqd01M
▽1977年
大瀬崎をご存じですか 歌:野路由紀子
(作詞・作曲:郷伍郎 編曲:小谷充)
http://www.youtube.com/watch?v=RnloktxKkTM
▽1978年
イチローくんのシャツに書かれた
「756」って数字がもう昭和史ネタですね。
「やったねパパ、明日はホームランだ!」は
当時の小学生の間では流行語でした(本当)
*1:参考記事:音楽の名品の情報交換ボード