クチコミズム〜5・6月のベストテン!

▽上映&DVD(新作)

1.音の城♪音の海(2010/服部智行)
目から…いや耳からウロコが落ちる"音遊び"ドキュメンタリー。子どもたちが気の向くままに(無秩序に)音を出すよろこびから、みんなの「音」を合わせる「楽」しさに至るまでを的確に捉えた構成で、副題通りの「SOUND to MUSIC」=音楽誕生を体験!ダレそうになったステージでがぜんハッスルし始めるヨシミくんのヴァイオリンから最後の合奏までの展開は、ほんとに感動的でした。
(渋谷アップリンクで上映中。http://www.otonoshiro.com/

音の城/音の海

音の城/音の海

2.ダンプねえちゃんとホルモン大王(2008/藤原章)
「アジアの山奥にあるフジワラ国で作られたミュージカルアクションコメディ」と思ってご覧になれば、フジワラ初体験の貴方もきっと楽しめます!DVDのオーディオコメンタリーでは、川原のミュージカル場面に一年かけたと思えばラーメン屋の6シーンを一時間でやっつける「藤原章映画術」に驚嘆&爆笑。

ダンプねえちゃんとホルモン大王 [DVD]

ダンプねえちゃんとホルモン大王 [DVD]

3.オーケストラ!(2009/ラデュ・ミヘイレアニュ)
評判高いわけですね、オーケストラ版「五十七人の侍」。57人が歩いてくるだけで可笑しいし。「コンマスはあんたか!」とか「ガス王はどうなった?」とかいちいち突っ込みながら楽しめました。ロシアをはじめ、各国のお国柄や文化を盛り込んだギャグも秀逸で、ビリー・ワイルダーの『ワン・ツー・スリー』を連想しちゃいました。ワイルダー好きの脚本家M氏はどうご覧になったのかな?
(渋谷ル・シネマほかで上映中。http://orchestra.gaga.ne.jp/

オーケストラ!

オーケストラ!

4.デコトラ★ギャル奈美 爆走!!夜露死苦編(2009/城定秀夫)
第一作より予算がダウンしても内容はスケールアップしてて呆れました(笑)。併映のデビュー作『押入れ』(2003)から一貫して、クライアントの要望を真正面から受け止めた上で「笑えて泣ける映画」に仕上げる手腕にあらためて脱帽。今や日本映画のホープとは成長の止まったあの人やせっかくの予算を活かせないあの人ではなく、どこかでいつの間にか"我流の娯楽映画"を作り出してしまう「城定秀夫・藤原章・渡辺文樹」なのかも!(あ、若松孝二御大も入れて四天王ですかね)
ポレポレ東中野の城定秀夫特集はいよいよ明日・7月2日まで!http://ameblo.jp/pegpegjojo/

デコトラギャル奈美2~爆走!夜露死苦編~ [DVD]

デコトラギャル奈美2~爆走!夜露死苦編~ [DVD]

5.月あかりの下で ある定時制高校の記憶(2010/太田直子)
クラスの九割以上が不登校経験ありのリベンジ高校生活四年間をいきいき描いていて、客席がそのまま教室になっちゃう115分。「授業に出ないのに皆勤賞」だったヤンキー娘サチコちゃんが次第にクラスに溶け込んでいく過程にもらい泣き!
(7月3日、文京シビックセンターで上映。http://tsuki-akari.com/

6.ただいま それぞれの居場所(2010/大宮浩一)
介護保険制度にうとい観客(=私)でも、「制度からはみ出す」ってどういうことなのかはよくわかる労作。現場をよく見つめた撮影と録音(塗装屋さんが歌うパラオの歌がステキ)、それを丹念に紡ぎ上げた編集で、いま日本のどこにでもある介護の問題が実感とともに受け止められました。だから客席は共感した方々の話し声が絶えないんですけど、この映画だとあんまりイヤな気がしないんですよね。
(全国巡映中。http://www.tadaima2010.com/

7.ミツバチの羽音と地球の回転(2010/鎌仲ひとみ)
北米型「明るい問題提起」映画の系譜に連なる軽やかな語り口で面白かった!三部構成の真ん中にエコの「本場」スウェーデンを挟むことで、日本人が考えたこともない電力の自由化=「未来の民主化」まで示唆しちゃう構成はお見事!
(各地で自主上映中。http://888earth.net/

8.アイ・コンタクト(2010/中村和彦)
デフリンピック女子サッカー日本代表の戦いを見せる前に、そもそも「聞こえない生活」とはどういうことかを丹念にインタビューした周到な構成が効を奏して、対デンマーク終戦は観客全員が「音のない世界」で手に汗握る展開に!
(9月18日からポレポレ東中野で公開。http://blog.livedoor.jp/eyecontact2010/

9.昭和の家事(2010/昭和のくらし博物館)
洗い張りやおはぎ作りなど、今や失われた家庭の仕事を「わざわざ」映像に遺すことで、日本女性の労働の歴史まで眺望する好企画。撮影後20年を経て、小泉和子館長のホームムービーとして纏まったのは結果的には正解だったかも。
(8月8日に上映会あります。http://www.digitalium.co.jp/showa/

10.ビルマVJ 消された革命(2009/アンドレス・オステルガールド)
カメラが三秒以上じっとしていられなさそうな状況だからこそ、「聴かせる映画」として面白かったです!お坊さんたちの「赤い行進」がモーゼの十戒みたいに街を呑み込んでいく迫力に思わず涙。
(渋谷イメージフォーラムで上映中。http://www.burmavj.jp/

補:あの夏の子供たち(2009/ミア・ハンセン=ラブ)
フランス語講座のスキットが続くみたいな、会話でテンポ良くつないでいく展開が好き。お坊ちゃん社長のキャラクターに李鳳宇さんがダブって仕方なかったです(苦笑)
恵比寿ガーデンシネマで7/16まで上映中。http://www.kadokawa-gardencinema.jp/yebisu/


▽上映&DVD(旧作)

ぶっつけ本番(1958/佐伯幸三)
アリサ・ヒトから人間への記録(1986/山崎定人)
空がこんなに青いとは(1970/山下秀雄)
夜の歌謡シリーズ 伊勢佐木町ブルース(1968/村山新治
男一匹ガキ大将(1971/村野鐵太郎)


▽TV

1.密使・若泉敬沖縄返還の代償(NHKスぺシャル/宮川徹志・岩田真治・内山拓
2.五月の語り部たち〜韓国光州事件・30年目の真実(ハイビジョン特集/NHKドキュメンタリージャパン/毛利匡)
3.琉神マブヤー琉球放送+CMCほか/岸本司ほか)
4.日本兵サカイタイゾーの真実〜写真の裏に残した言葉(ザ・ベストテレビ2010/静岡放送/岸本達也)
5.OUTRAGE(未公開映画を観るTV/カービー・ディック)
6.ETV特集『「死刑裁判」 の現場〜ある検事と死刑囚の44年』(ETV特集/NHK/堀川惠子)
7.沖縄返還“密約”〜アメリカが見た日本外交(BS世界のドキュメンタリー/NHKグローバルメディアサービス/土江真樹子)
8.本土に問う〜普天間移設問題の根底(ETV特集/NHK/渡辺考)
9.時々迷々「きつね」(NHK/淋代壮樹+片桐絵梨子)
10.映画愛の結晶 南国土佐のニューシネマパラダイスふるさと発元気プロジェクト/BSジャパン/村上賢司
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