http://www.mai-mai.jp/index.html
「ぴあ」のクチコミでは随分と低い点数!なので
どんな塩梅なのか見に行こうとしたんですが、
都心では新宿1館のみ、上映回数も少ないため、
えいっ!と川崎まで行って見てきてしまいました。
ああー面白い。
すごく面白いですけど、これは当らないですね……。
畑の間を流れる「直角に曲がる用水路」をきっかけに、
ヒロイン・新子が「千年前の周防の国」を空想する冒頭から、
日本の伝統ある「まんが」ならではの自由な表現が存分に発揮されます。
麦畑に浮かぶ船みたいな民家の面影、伝説の「ガス冷蔵庫」の構造、
瀬戸内海沿岸の埋立地にでき始めたコンビナートと社宅群などなど、
すごく緻密な世界観をベースにしながら、
必ずしもリアルに徹しているわけではない演出方針で、
子供と大人の「リアルな物語」ではない、
「リアルな感情」が描かれてるなーと思いました。
(歩きのカットの"際立つゆっくりさ"と"低いカメラアングル"にも
いたく感心しました)
ちなみにこんな冒頭。いいテンポだなー。
このテンポに乗れたら疲労回復効果バツグンな90分になるんですけど、
最近の「三丁目トワイライト」方面のファミリー映画に
慣れていらっしゃる向きにはちと敷居が高いかとも思いました、はい。
だから、日本の伝統ある「まんが」に親しんだ
「R40」の方には自信を持ってオススメできます。
背伸びしたい「U40」の皆さんもぜひトライを。
(ただし都心は新宿ピカデリーのみで、亀有、東武練馬、むさし野、昭島と
近郊のシネコンばっかりという上映形態も痛し痒しな気がします…)
あ、ミヤザキ系というよりはタカハタ系の世界だと思います。
クライマックスで提示されるメッセージは、
ヒロインが呼びかけるにはいささか子供離れしてる気もするんですけど、
なんとなく『火垂るの墓』の清太兄ちゃんを彷彿とさせる(笑)
薄倖の少年・タツヨシが最後の最後で笑う展開が、
千年前の姫さま*1たちのエピソードと巧くリンクしていて、
「広げた風呂敷にちゃんと責任持つ」姿勢がとても良かったです。
(フジテレビ「世界名作劇場」の幕引きを飾った(?)秀作
『名犬ラッシー』以来ひそかに応援してる片渕須直監督の丁寧なお仕事…
もっと注目されてほしいです)