こうの史代『この世界の片隅に(下)』

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

よかった!
面白かった!!

時に、「誰もかれも」の「死」の数で悲劇の重さを量らねばならぬ
「戦災もの」を、どうもうまく理解出来ていない気がします。(あとがきより)

という私たちの世代にとっても、「誰もかれも」ではなく
「あの人」や「あの街」を連想しながら読める、
どこか"なつかしい"、いとしい、そんなホームドラマ
特に第30回、海軍工廠とともに発展してきた呉の街の歴史を、
北條家のお父さんの半生とともに紹介する4ページは、
家族と故郷の歴史への愛着が出ていて大好きです。
その後、3ページ続く俯瞰の構図で工廠が焼失する様子を示し、
最後の1ページ、言葉少なにお父さんの安否を心配する北條家の人々…
という演出も圧巻でした。
とにかく各回で驚くべき表現への工夫が凝らされていて、
何度も読み返すことになりそうです。


なお、こうの先生からのインフォメーション↓

本屋さんによっては(この辺が詳しく判らなくてすみません)書き下ろしのチラシ(?)が付きます。昭和20年の暦(絵なし)です。この漫画に限らず、後々「戦争もの」を読む時に役立つ筈…。
http://6404.teacup.com/kouno/bbs?OF=10&BD=7&CH=5

しまった!暦ほしいなあ……。
(絵はなくとも、こうの先生の"書き込み"には定評あり)
これから購入される方は暦をゲットしませう!